SNS越しに見る展示
現在、アトリエ三月の企画展「それでもやさしくありたい」に参加しています。
今回、私はまだ会場へ行けていません。だから展示の様子は、来場してくださった方々がSNSに投稿してくれる写真で見ています。
そのたびに、少し不思議で、とても嬉しい気持ちになります。
私が制作している「うそドット」は、ピクセルのように見える絵を、絵具と手作業で描く作品です。
今回出品している作品も、フェルメールをはじめとした名画の中の女性たちをドット絵ソフトで下書きし、それをもとに1マスのサイズを測り、ひとつひとつ色を置きながら制作しました。

そんな作品が会場に展示され、誰かが見つけてくれる。
そして撮影され、SNSに投稿される。私はその写真をまたスマホで見ている。
デジタルから始まり、アナログになり、そして再びデジタルへ戻っていく。
その流れを考えると、なんだか面白いなと思います。
でもそれ以上に嬉しいのは、作品が誰かの時間の中に入れてもらえたことです。
「撮っておきたい」と思ってもらえたこと。その気持ちがとても嬉しいです。
企画展のタイトルは「それでもやさしくありたい」。
SNSに流れてくる展示風景を見ながら、作品は誰かの手を渡りながらインターネットへ旅を続けていくのだなと思いました。
今回展示した作品について
今回展示した作品は、すべて過去の名画へのオマージュです。
「なんだかこの人が好きだな」と思った女性たちを選びました。描くために作品やモデルになった人物について少しだけ調べたらますます好きになった気がします。
イレーヌ嬢

ルノワールの作品です。
私は人物画の中でも、こちらと目が合わない絵が好きです。
この作品には木漏れ日の下の空気まで感じられるような色合いがあります。
ふわふわとした髪の毛の表現も魅力的で、以前から好きな絵でした。
真珠の耳飾りの少女

フェルメールの作品です。
大阪で展示されるタイミングと偶然重なりましたが、それに合わせて選んだわけではありません。
「青いターバンの女」よりも、「真珠の耳飾りの少女」という呼び名の方が可憐な雰囲気を感じます。
そして不思議なのが眉毛です。ほとんど見えないことで、どこか謎めいた少女に見える。
私の世代だと眉なしはギャルのイメージもありますが、この絵ではまったく違う魅力として成立しているように思います。
シシィ

フランツ・クサーヴァー・ウィンターハルターによって描かれた、オーストリア皇后エリーザベトの肖像画をもとにしています。
全身像も美しいのですが、今回は顔の印象を中心に切り取りました。
描くうえで強く印象に残ったのは眉と眼力です。
凛とした強さのある視線に惹かれました。
ポリニャック公爵夫人

エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによる肖像画です。
最初は、ふわふわとした雰囲気のおしとやかな美人だと思っていました。
ところが調べてみると、
「天使のような顔をして王妃に近づき、自身の一族のために私利私欲を貪った悪魔のような女性」
と酷評されることもあった人物だと知り驚きました。
絵から受ける印象と、人について語られる評価が必ずしも一致しないのだなと面白く思いました。
ロメーヌ・ラコー嬢の肖像

この作品は、とにかく服装が好きでした。
ふわっとした白い袖。
少し青みを感じる灰色のドレス。
黒いリボン。
肩の見えるデザイン。
そして赤いイヤリング。
人物そのものだけでなく、衣装のかわいらしさにも惹かれた作品です。これはまたリベンジしたい絵です。ものすごくかわいいなあと思う絵なので、気になった方はぜひ調べてみてください。
小作品について
16×16マスの小作品は、近所や出先で撮影した空や風景のスナップ写真をもとに制作しています。

会期も残りわずかです
遠くでは肖像画に見え、近くでは無数のマスと絵具の集まりになっていたらいいな。
もしSNSの写真で少し気になっていた方がいたら、ぜひ会場で見ていただけたら嬉しいです。
その「うそ」の正体を、会場で見てもらえたらと思います。
それでも やさしくありたい
会期 2026年10月2日(金)〜10月13日(火)
会場 アトリエ三月 2階
営業時間 14:00〜20:00 (毎週火曜日は19:00まで)
休廊日 水・木